スーラージュと森田子龍

 

2024年3月16日(土) ~5月19日(日)

 

森田子龍(左)とスーラージュ(中央)1963 年、パリにて
森田子龍(左)とスーラージュ(中央)1963 年、パリにて

 

 

 

フランスのアヴェロン県と兵庫県との 20 年をこえる友好提携を記念し、1950 年代から直接交流のあった画家のピエール・スーラージュ(1919-2022/アヴェロン県出身)と書家の森田子龍(1912-1998/兵庫県出身)の展覧会が開催されます。

 

国際交流は何をもたらし、文化的なアイデンティティはいかにして生まれるのでしょうか。スーラージュ美術館の全面的な協力により開催される本展では、二人の作品合わせて約 50 点に加え、書籍や日記などの資料を通して、芸術家の出会いを考えます。

 

 

みどころ

 

「前衛書」の旗手として世界的に知られる書家、森田子龍は、兵庫県豊岡市の出身。その作品は、1950 年から 60 年代にかけて海外で開催された展覧会に次々と出品され、大きな注目を集めました。森田子龍の展覧会が神戸で開催されるのは約 30 年振りで、約 30 点の作品が一堂に会します。

 

パリのルーヴル美術館で 2019 年から 2020 年に個展が開催されるなど、フランスの国民的な画家として人気を誇るピエール・スーラージュ。故郷ロデーズにあるスーラージュ美術館から出品される 17 点のうち 16 点は“日本初公開”。もう 1 点は、1951 年に日本で初めて展示されたスーラージュの作品で、このたび、約 70 年振りに来日します。

 

コロナ禍による二度の延期、2022 年 10 月スーラージュ氏の 102 歳での逝去を経て、ついに実現した今回の二人展。森田の編集する雑誌『墨美』を通じて交流が始まった「白黒の仲間 *」の競演を見ることができるのは、兵庫県立美術館だけです。(本展は巡回の予定はありません)

 

モノクロームの作品を描く画家たちを指す、森田の言葉。

 

森田子龍《坐俎上》1953年 兵庫県立美術館
森田子龍《坐俎上》1953年 兵庫県立美術館

 

【展覧会概要】

 

戦後まもない時期、海外の抽象画と日本の前衛書は、国境やジャンルをこえて、同時代性を示していました。森田子龍が編集を行っていた『墨美』(1951年6月創刊)では、1950年代、欧米の抽象絵画を次々と紹介しています。ピエール・スーラージュとの関係も、『墨美』をきっかけに始まりました。『墨美』26号(1953年8月)には、本人から提供された作品写真10枚が掲載されています。

 

「スーラージュは『墨美』が非常に好きでよく見てくれているそうですが、

そんなことから今度アルコプレー※を通じて送ってくれたのです」

(「書と抽象絵画・座談会」『墨美』26号より)

※ドイツ系アメリカ人の画家

 

モノクロームの作品を描く画家たちを、森田は「白黒の仲間」と呼び、そのような仲間ができることは喜びであり、励みになったと述べています。1958年、初めて来日したスーラージュは、森田らと直接、意見を交わしました。1963年には、ヨーロッパを歴訪した森田が、パリでスーラージュ夫妻と再会しています。

 

戦後の抽象絵画を代表する画家のひとりである、「黒の画家」ピエール・スーラージュと、1952年に4名の同志とともに「墨人会」を結成し、新しい書のあり方を追い求めた森田子龍。二人は交流を通じ、互いの表現の共通点と相違点について考えを深めました。

 

森田子龍《蒼》1954年 国立国際美術館
森田子龍《蒼》1954年 国立国際美術館
ピエール・スーラージュ《Brou de noix sur papier 63 x 50 cm, 1949》 1949年 スーラージュ美術館 © Adagp, Paris/ Photo : musée Soulages, Rodez/Christian Bousquet
ピエール・スーラージュ《Brou de noix sur papier 63 x 50 cm, 1949》 1949年 スーラージュ美術館 © Adagp, Paris/ Photo : musée Soulages, Rodez/Christian Bousquet

 

ピエール・スーラージュ(Pierre Soulages 1919-2022)

1919年、フランス南西部アヴェロン県ロデーズに生まれる。画業の最初期から晩年に至るまで、一貫して抽象を追究した。2014年、故郷ロデーズに、その名を冠した美術館が開館。生誕100年を記念し、2019年12月から2020年3月にかけて、パリのルーヴル美術館で個展が開催された(生前にルーヴルで個展が開かれたのは、ピカソ、シャガールに次いで3人目)。2022年没。

 

森田子龍(もりた・しりゅう 1912-1998)

1912年、兵庫県豊岡市に生まれる。世界的に知られる前衛書家として活躍。雑誌編集者としての側面もあり、師の上田桑鳩のもとで1939年頃から『書道芸術』の、戦後1948年からは『書の美』の編集に携わる。1951年『墨美』を創刊、1981年に301号で終刊するまで、「書芸術雑誌」として幅広い内容を取り上げた。1998年没。

 


 

【開催概要】

 

会  期:2024年3月16日(土)〜2024年5月19日(日)

開館時間:午前10時-午後6時(入場は閉館の30分前まで)

会  場:兵庫県立美術館

       (651-0073 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1[HAT神戸内] )

展  示  室:兵庫県立美術館 企画展示室

休  館  日:月曜日[ただし4月29日(月・祝)、5月6日(月・振休)は開館、4月30日(火)、5月7日(火)は休館]

観  覧  料:一般 当日券 1,600円、団体料金/前売券(3/15まで) 1,400円

     大学生 当日券 1,000円、団体料金/前売券(3/15まで) 800円

     高校生以下 無料

     70歳以上 当日券 800円、団体料金 700円

     障害者手帳等をお持ちの方(一般) 当日券 400円、団体料金 350円

     障害者手帳等をお持ちの方(大学生) 当日券 250円、団体料金 200円

      ※障害者手帳等をお持ちの方1名につき、その介助の方1名は無料。

      ※一般以外の料金には証明できるもののご提示が必要です。

      ※団体(20名以上)でご鑑賞いただく場合は事前のご連絡をお願いします。

 

[コレクション展 “無料”観覧日]

公益財団法人伊藤文化財団の協賛により、コレクション展を「無料」でご鑑賞いただけます。

5月12日(日) 第2日曜日、自由に話せる観覧日(コレクション展)

 

 

 

 

若い世代の方にも気軽にお越しいただけるよう、大学生の観覧料を特別に1,000円(前売り800円)に設定しました。

 

なお、高校生以下は「無料」です。ご家族やご友人と一緒にお越しください。

 

 

【兵庫県立美術館|公式サイト】 https://www.artm.pref.hyogo.jp/

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主  催:兵庫県立美術館、神戸新聞社

企画協力:スーラージュ美術館

協  賛:公益財団法人伊藤文化財団

特別協力:公益財団法人日本教育公務員弘済会 兵庫支部

助  成:笹川日仏財団、一般財団法人安藤忠雄文化財団

交通案内・阪神岩屋駅(兵庫県立美術館前)から徒歩約8分

    ・JR神戸線灘駅南口から徒歩約10分

    ・阪急王子公園駅西口から徒歩約20分

    ・JR三ノ宮駅南から神戸市バス(29、101系統)にて約15分、「県立美術館前」下車すぐ

    ・地下駐車場(乗用車80台収容・有料)

    ※ご来館はなるべく電車・バスをご利用ください。

    ※団体バスでお越しの場合はバス待機所のご予約をお願いします。